

ネオニコチノイド系農薬の一つチアクロプリドが4月30日、EUで登録が失効した。欧州委員会は今年1月13日、ネオニコチノイド系農薬の一つチアクロプリドの禁止を正式に決定したと発表していた。進展は緩やかではあるが、EUは脱ネオニコに向けて進んでいる。近く、EUは農薬の大幅削減を目標に盛り込んだ生物多様性戦略を公表するという。
欧州委員会は2019年1月、欧州食品安全機関(EFSA)のリスク評価が終っていないとして、チアクロプリドの登録期限を1年延長し2020年4月30日とした。同年3月、欧州食品安全機関(EFSA)は、チアクロプリドは発がん性が疑われる物質であり、生殖毒性があり、内分泌かく乱物質(環境ホルモン)であるとするリスク評価を公表した。
・EFSA, 2019-3-14欧州委員会はこの評価書を受けて、規制委員会で加盟国に登録を更新しないことを提案。同委員会は昨年10月、加盟国の多数の賛成で提案を承認した。
欧州委員会は1月13日の決定に際して、健康・食品安全担当のステラ・キリアキデス委員のコメントを発表した。キリアキデス委員は「欧州食品安全機関(EFSA)からの科学的助言は明確である。この農薬の使用、特に地下水への影響に関連した環境上の懸念があるだけでなく、生殖毒性などの人間の健康にも関連している。本日の採択は、EU市民の健康と環境を守るという欧州委員会のコミットメントを明確に示すものである」と述べている。
・European Commission, 2020-1-13 ・European Commission ・Reuters, 2020-1-13このチアクロプリドの登録失効により、EU域内におけるネオニコチノイド系農薬の登録は6種類となる。このうち、イミダクロプリドとチアメトキサム、クロチアニジンの3種類は、18年12月に屋外使用が全面的に禁止され、実質的に禁止となっている。アセタミプリドは17年、33年2月まで登録が延長された。

チアクロプリドはバイエルが開発したネオニコチノイド系農薬の一つ。日本では11剤が登録され、適用作物はリンゴなどの果樹やトマトなどの野菜である。バリアードの商品名で販売されている。国立環境研究所のまとめでは、2018年の出荷量は14.2トンと、出荷量がトップのジノテフランの10分の1程度となっている。
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