最終更新日:2020年5月12日
2020年
1月
2月
6月

7月
8月
9月
1月
1月
1月

 07年 08年 09年 10年 11年
 12年 13年 14年 15年 16年
 17年 18年 19年 20年

2020年5月
12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31
最近の記事
2020.05.31 No.1041
2020.05.22 No.1040
2020.05.17 No.1039
2020年5月の記事
2020.05.31 No.1041
2020.05.22 No.1040
2020.05.17 No.1039
2020.05.14 No.1038
2020.05.12 No.1037
2020.05.07 No.1036
2020.05.05 No.1035
2020.05.01 No.1034
2020年4月の記事
2020.04.28 No.1033
2020.04.23 No.1032
2020.04.08 No.1031
2020.04.06 No.1030
2020.04.05 No.1029
2020年3月の記事
2020.03.28 No.1028
2020年5月

2020.05.12 No.1037
■グリホサートが自閉症の発症に影響か 千葉大学などが研究
roundup_drugstore.jpg
ドラッグストアで販売されるラウンドアップ

 千葉大学などの研究グループは5月12日、妊娠中のグリホサート暴露が子どもの自閉症の発症に影響する可能性があると発表した。研究グループは、今後、妊婦を対象としたグリホサート暴露と子ども自閉症発症の追跡調査を提案している。

 プレスリリースによれば、グリホサートを妊娠マウスに飲料水として与えた結果、妊娠中のグリホサートの摂取が、子どもの自閉症スペクトラム障害(ASD)の発症に関係している可能性が示唆されたほか、可溶性エポキシド加水分解酵素(sEH)の異常が、自閉症スペクトラム障害のような行動異常の発生に重要な役割を果たしていることも明らかになったとしている。

  • 妊娠したマウスにグリホサートを含む水を離乳期(生後21日)まで与えると、生まれた仔マウスが自閉症スペクトラム障害のような行動異常を示した。
  • 妊娠した母マウスにグリホサートを与えた母体暴露群では、子マウスの腸内細菌叢は、通常の水を与えたコントロール群と比べ乱れていた。
  • 妊娠マウスへsEH阻害薬を妊娠期から離乳期まで投与すると、母体暴露群の自閉症スペクトラム障害のような行動異常が抑制された。
千葉大学プレスリリースより

 研究グループは、実験に使用したグリホサートが高濃度(0.098%)であり、今回の実験結果から「ヒトでの妊婦のグリホサートの摂取が、子どもにASDを引き起こすという結論は導き出せません」としている。一方、輸入小麦からグリホサートが検出されていることから食事として摂取している可能性がある、と指摘し、今後、妊婦を対象とした大規模な追跡研究が必要であるとしている。妊婦の血液や尿中のグリホサート等の農薬の濃度測定と、生まれた子どもの追跡調査(ASD発症率など)を実施することで、ASDの病因に農薬の母体暴露が関係しているかが明らかになると考えられるとしている。

 ・PNAS, 2020-5-12  ・千葉大学, 2020-5-12

 妊娠中のグリホサート暴露と生まれてきた子どもの自閉症スペクトラム障害(ASD)の発症リスクについては、これまでにカリフォルニア大学などの研究グループが増大するという研究結果を2019年に発表している。

 研究グループは、カリフォルニア州の主要な農業地域であるセントラルバレーにおける1998年から2010年の出生データを分析し、出生前のグリホサートなどの農薬暴露が自閉症スペクトラム障害と関連しているという。生後1年目に暴露すると、いくつかの農薬物質では知的障害を併存する障害が最大50%増加したとしている。

 研究では、出生前にグリホサート、クロルピリホス、ジアジノン、ペルメトリンなどに母親が暴露すると、自閉症スペクトラム障害発症のリスクが増加するとしている。特に、妊娠中の母親の居住地から2キロ以内で農薬が散布されて暴露すると、曝露を受けていない同じ農業地域の子供と比較して、自閉症スペクトラム障害のリスクの増加を示唆しているという。さらに、出生後にあっても乳児期に暴露すると、知的障害を伴う自閉症スペクトラム障害のリスクをさらに高める可能性があるとしている。

 ・BMJ, 2019-3-20

 これまで、グリホサートの健康被害は非ホジキンリンパ腫のようながんに焦点が当てられてきた。国際がん研究機関は2015年、グリホサートについて「おそらく発がん性がある」とするグループ2Aに位置付けて大きな波紋を呼んだ。その後、米国を中心にモンサント(バイエルが買収)を相手取った損害賠償訴訟が起こされ、これまでに3件のケースで、懲罰的損害賠償を含む高額の損害賠償を命ずる判決が下されている。バイエルは上訴するとともに、原告団と和解交渉を進めているが、コロナ禍を理由として大幅に遅れていると報じられている。バイエルによれば、原告は増え続け、4月には5万2千人余りに達したという。

 研究グループもプレスリリースで指摘しているように、輸入小麦の多くからグリホサートが検出されている。農水省の調査によれば、2018年の輸入小麦の8割以上を占める米国産やカナダ産のほとんどからグリホサートが検出されている。

import_wheat_glyphosate_2013-2018_.jpg
[画面クリックで拡大]

 また、農民連食品分析センターの調査によれば、国内で市販されている小麦製品や食パンの多くからグリホサートが検出され、学校給食のパンでも検出されている。パンをはじめとする小麦製品からグリホサートを摂取しているのは間違いない。

 近年、自閉症などの発達障害が増えているという。今回の千葉大学の研究結果は、グリホサートの神経系への健康被害の可能性を示しており、研究グループの提案しているように、妊婦を対象とした大規模な調査が望まれる。

 ・農民連食品分析センター, 2020-2-13  ・農民連食品分析センター, 2020-4-20
【関連記事】
カテゴリー
よく読まれている記事