最終更新日:2020年7月16日
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2020.07.16 No.1046
■農薬を自己分解する「間接的」遺伝子組み換えミツバチの特許出願
Honey_bee_protector.jpg / Flickr
ミツバチ / Rachael Bonoan / Flickr

 欧米を中心にして、世界的なミツバチの大量死が続いている。米国ではここところ、年間40%以上の巣が失われて大きな問題となっている。大量死の対策として、EUやフランスでの使用禁止を含むネオニコチノイド系農薬への規制が進んでいる。そのような中、米国テキサス大学オースチン校の研究グループは2019年、ミツバチなどの腸内細菌叢に固有の細菌の遺伝子操作することにより、ミツバチの遺伝子を間接的に操作し、農薬を分解を目的の一つとする特許を米国特許商標局(USPTO)に出願している。

 この出願中の特許は、「遺伝子操作された細菌を投与することで、ミツバチのような昆虫においてRNA干渉を誘導する方法」だという。申請書の請求項では幅広く昆虫としているが、目的はミツバチのようなハチ類の遺伝子操作が主な目的のようである。出願は受け付けられているが特許としてはまだ認められていない。

 特許の申請書によれば、細菌の遺伝子組み換えにより、宿主のミツバチの腸内で生物学的に活性な二本鎖リボ核酸(dsRNA)を生産するようにし、このdsRNAが腸から取り込まれ、中枢神経系を含むハチの体内に広がることで、ミツバチの生理的な特性を改変しようという。申請書には28の請求項を列挙しているが、この間接的な遺伝子操作により、ハチの健康を改善したり(請求項6)農薬を分解する(請求項7)ポリぺプチドの生成をコードする組み換え細菌と明記している。

 ・US Patent and Trademark Office (USPTO)

 研究グループは今年1月、この特許の請求項6に対応する研究結果をScience誌に発表した。遺伝子を操作した腸内細菌の一種(Snodgrassella alvi)をミツバチに与えた後、ミツバチに寄生するバロアダニを死滅させることに成功したと報告している。請求項7に記載の農薬の自己分解については触れられていないが、研究グループは、この共生型アプローチはハチの健康を守るための可能性を秘めているとしている。

 ・Science, 2020-1-31

 この特許申請と研究結果に対してドイツの民間検査機関のテストバイオテックは、こうした遺伝子操作された細菌が環境中に出た場合、野性のミツバチやマルハナバチなどに伝達され広がる同時に、他の細菌への問題の遺伝子の水平伝達のリスクがあり、思いもよらない環境リスクを引き起こすと指摘している。

 今のところ、農薬を自己分解するミツバチは誕生していない模様だ。研究グループが示したバロアダニの実験が、この方法の可能性を示していることから、有害な農薬を自己分解するい間接的遺伝子組み換えミツバチを目指したとしても不思議ではないだろう。テストバイオテックは、遺伝子を操作した細菌が「宿主」の生物学的特性を変化させるうる生物学的活性物質を産生することができ、これらの複雑な相互作用は、環境リスクの全く新しい次元を生み出すことになる、と警告している。軽々に手を出すべきではない。

 ・Testbiotech, 2020-7-9

 真偽のほどは不明だが、昨年、韓国・ソウル大学で、ゲノム編集により農薬耐性ミツバチを作出したとのニュースが流れたことがある。ネオニコチノイド系農薬規制強化に対抗した、こうした遺伝子操作による農薬耐性型のミツバチ作出の動きは大きくなっていくのではないか。しかし、環境リスクが排除できない、遺伝子ドライブ型のこうした動きは傍観できない。田んぼで使うネオニコチノイド系農薬によるミツバチ被害を農水省も認めていて、対岸の火事というわけではない。

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