最終更新日:2020年8月20日
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2020.08.20 No.1055
■自給自足が可能なのは世界の3割足らず 日本も厳しい

 コロナウイルス禍で食料システムが混乱しつつある。この3月、欧米では農業労働者の移動が制限された結果、収穫や作付けに問題が出ていると報じられた。世界食糧計画(WFP)は、現在1億3千万人が飢餓で苦しんでいるが、コロナウイルス禍により20年末までに2億5千万人以上の人々が飢餓に苦しむことになるという新たな報告書を発表している。そんな中、フィンランド・アールト大学などの研究グループは4月17日、地産地消が可能な半径100キロの食料自給圏(foodshed)で主食となる食料を入手できるのは、世界の11%から28%に限られるという、悲観的な研究結果を発表した。アールト大学のリリースのタイトルは、『「ローカルフード」に頼ることは、世界のほとんどの人にとって遠い夢である』という暗いものだった。

 食料自給圏で食料を手に入れることが現実的ではなくなってきている。陸路にしろ、海路にしろ、現在のように移動制限がかけられると、食料供給は、途端にその脆弱性を増す。日本政府の食料自給率を50%に上げるという「悲願」は、それこそ「彼岸」にあり、世界経済のグローバル化に合わせるかのように37%(18年度)まで下がってきている。19年度は1ポイント上がった38%だった。尻に火が付いた状態だ。

 研究グループは、人間にとって重要な6つの作物群 ― @温帯穀物(小麦、大麦、ライ麦)、A米、Bトウモロコシ、C熱帯穀物(キビ、ソルガム)、D熱帯根菜類(キャッサバ)、E豆類 ― について、生産から消費者までの距離をグローバルにモデル化した。その結果、ヨーロッパや北米では、小麦などの温帯作物は、ほとんどが半径500Km圏内で手に入るが、世界平均は約3800Kmだという。人口の26〜64%では、その距離は1千Kmを超えているという。

半径100Km圏で食料入手が可能な人口
温帯穀物(小麦、大麦、ライ麦) 27%
28%
熱帯穀物(キビ、ソルガム) 22%
トウモロコシ・熱帯根菜類 11%〜16%
豆類 27%
アールト大学リリースより作成

 研究グループの作成した地図によれば、欧州や北米はまだしも、アフリカの多くの地域、アジアや南米の一部地域のフードマイル(食料輸送距離)が数千キロに及んでいる。日本も、都道府県単位の自給率で200%を超える北海道や自給率の高い東北の一部を除き、フードマイルは5千キロ以上と分析されている。

 ・Nature Food, 2020-4-17  ・Aalto University, 2020-4-17

 日本は、小麦は8割以上、トウモロコシは飼料用を含めほぼ全量を輸入に頼っている。豆類の中では大豆も9割以上と世界中から食料をかき集めている。現在は米は自給できているが、農業人口の減少と高齢化が進むことで、将来的には赤信号が付くかもしれない。

 まだ直接的な影響はないものの、ロシアやインドは穀物輸出の制限を始めている。今年2月の貿易統計では、コロナウイルス禍により経済活動が停滞した中国からの食料品の輸入は、前年同月比約50%に縮小したことが明らかになった。食料調達ルートのどこかが縮小し、あるいは閉じれば多くの食料を輸入に依存している日本のような国々は、その途端に影響を受ける。

 研究グループは、地域自給圏を整備したとしても、十分かつ安定した食料供給を確保するためには、やはりグローバルなサプライチェーンが必要となるだろうとしている。しかし、まだ先の見えないコロナウイルス禍をきっかけに、小さな一歩であったとしてもグローバル経済からの脱却と地域自給の構築に向けて踏み出す必要があるのではないか。いつまでも、世界から食料を集められるとは限らない。政府の施策を待つのではなく、例えば、CSAのように近くの農家と直接結びついたり、家庭菜園を始めたりと、個々人が身近なところから、小さくともできることから始めることが肝要ではないか。


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