ニュージーランド第一次産業省のNZ産ハチミツの約2割からグリホサートが検出されたとの報告書は大きな反響を呼んでいるが、日本産ハチミツの残留農薬に関する検査結果はほとんど明らかになっていないのが現状だ。そうした中で、農民連食品分析センターは8月21日、検査依頼品のハチミツ1検体からグリホサートの痕跡(定量限界の0.01ppm以下)を検出したと発表した。
日本のハチミツのグリホサートについて残留基準値は設定されていないため、一律基準の0.01ppmが適用される。農民連食品分析センターは、今回見つかったグリホサートの痕跡について、ハチミツの残留基準値未満であり、食品衛生法では問題の無い食品として流通できると評価されるとしている。グリホサートの混入については、一例としてNZの検査結果にあるように、牧草地などでのグリホサートの使用が考えられるとしている。
日本では、ハチミツの残留農薬検査がほとんど行われていないか、行われていたとしても公表されていないのが現状である。農民連食品分析センターは、「日本産のハチミツにどの程度、グリホサートが残留しているかについて厚生労働省や農林水産省が調査、報告したものや学会などの論文は、今のところ、見つけられていません。実態の調査が求められます」と、関係機関での実態調査の必要性を指摘している。
・農民連食品分析センター,2020-8-21業界団体の日本養蜂協会は2018年4月、『蜂蜜中の残留農薬に関する報道について』という文書を公表し、食品衛生法に則った試験法でモニタリングをしているが高い数値のハチミツは見つかっていないとしているものの、その検査結果は公表していない。グリホサートを含め、ハチミツの残留農薬の実態は不明のままだ。日本養蜂協会は、実施しているという検査結果の公開が疑念払底の最良の手段であることに気づかないのだろうか。それとも公開できないような数値が並んでいるのだろうか。ぜひとも公表していただきた。
・日本養蜂協会, 2018-4農民連食品分析センターは、ハチミツの残留農薬分析についての検査相談に応じている。検査農薬の種類によって検査価格が異なるが、グリホサートのみ、あるいはネオニコチノイド系のみの場合は1検体24,000円となっている。同センターの募金協力会員(一口年間5千円)は割引が受けられるという。
・農民連食品分析センター【関連記事】
- ネオニコ系国内出荷量 21年度3.8%増 第二世代は63%増
- 有機農業は排外主義に与しない 参政党に反対する農民と市民が声明
- 冊子『スルホキサフロル 新しいネオニコチノイド系農薬』刊行のお知らせ
- ネオニコ系イミダクロプリド 自閉スペクトラム症様の視知覚障害を引き起こす
- 厚労省:グリホサートの残留基準値を大幅緩和を告示
- メキシコ GMトウモロコシ栽培を禁止 24年までに輸入も段階的に禁止
- 東アジアは農薬のホットスポット 日本はトップ5
- 農薬再評価 ネオニコとグリホサートなど優先14品目を告示
- 米国産ジャガイモ 輸入規制緩和 ポストハーベストも認める
- 輸入小麦の残留グリホサート 豪州産の検出率急増