厚労省は8月28日付けで、遺伝子組み換え微生物を使った香料バレンセンとエキソマルトテトラオヒドロラーゼを承認した。バレンセンは日本では初めての遺伝子組み換え香料となる。今回の承認で、安全だとして承認された遺伝子組み換え添加物は47品目となる。昨年より遺伝子組み換え添加物の申請が急増し、8月28日現在、15品目が食品安全委員会の審査、あるいは厚労省の承認待ちとなっている。今年に入っての承認は合計3品目。
これまで、柑橘系の香り付けに使われる香料のバレンセンは、柑橘類の皮から抽出されていた。今回承認されたGMバレンセンは、遺伝子組み換えによりバレンセンを作るように遺伝子を組み替えた微生物が作ったものを精製しているという。食品安全委員会の評価書によれば、柑橘系の香りでジュース、チューインガムなどの飲食物に使用されるという。日本の制度上、遺伝子組み換え添加物は表示の必要はなく、ジュースなどに使われたとしても、遺伝子組み換え由来の香料であることは分からない。開発したのはオランダのアイソバイオニクスで、同社は昨年11月、ドイツのBASFに買収されている。
食品安全委員会は今年6月、《従来の添加物と比較して新たに安全性を損なうおそれのある要因は認められなかった。ヒトの健康を損なうおそれはない》とする評価書を決定し、厚労省に通知した。このGMバレンセンの意見公募では、、開発企業のデータのみでは客観評価ではなく動物実験を行うべきであるとか、天然バレンセンがかんきつの皮から抽出でき遺伝子組み換えによるバレンセンを認める必要はないといった意見が提出されたが、食品安全委員会は厚労省、消費者庁に伝えるという対応で評価を変えなかった。意見公募(パブリックコメント)制度が実質的に崩壊してしている。
・厚労省, 2020-8-28 ・食品安全委員会, 2020-6もう一つのGM添加物エキソマルトテトラオヒドロラーゼは、米国のダニスコ社の製品で、デンプンの加水分解酵素であり、耐熱性があり高温での使用も可能となりパン製造における品質維持を目的として使用されるとしている。
・食品安全委員会, 2020-6【関連記事】
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