

DAIZ(株)は8月31日、同社の発芽大豆を使った代替肉「植物肉ミラクルミート」がフレッシュネスバーガーに採用されたと発表。「ザ・グッドバーガー」の商品名で、全国のフレッシュネスバーガーで販売されるという。植物肉の原料大豆は遺伝子組み換えではないとしている。同じように代替肉を使った米国のインポッシブル・バーガーは、代替肉汁に遺伝子組み換え由来の原料を使っていることが問題となっている。米国食品医薬品局(FDA)の承認に対して取り消しを求める訴訟も起きている。フレッシュネスバーガーはこの問題には触れていない。
・DAIZ, 2020-8-31 ・DAIZ ・フレッシュネスバーガー, 2020-8-31DAIZの発表によれば、同社の「ミラクルミート」は、佐賀大学が育種した遺伝子組み換えでない高オレイン酸大豆を使用しているという。佐賀大学の穴井教授らは2006年、X線照射による突然変異で含有率が50%を超える高オレイン酸大豆を作出したと日本油化学会誌に発表している。2009年6月には、「ダイズ油脂中のオレイン酸含量を増加させる突然変異体及びその原因遺伝子」として特許も出願している。佐賀県工業技術センターの報告では、佐賀大学育種の高オレイン酸大豆のKK21-B12系統のオレイン酸の含有量は78%に達したという。この含有量は、遺伝子組み換えによる高オレイン酸品種の約80%にほぼ匹敵する。
穴井教授らの報告では、特定遺伝子の欠失が高オレイン酸をもたらしているとしている。したがって、ゲノム編集により同様の操作をすることで新たな機能性大豆が作出されるかもしれない。この場合、外来遺伝子の挿入がないのであれば、現状のゲノム編集食品規制では「遺伝子組み換えではない」とされ、栽培も表示も何ら規制を受けることがなくなる。こうした品種が増えてくる可能性が大きいのではないか。そのような品種は表示規制がないため、消費者には何を食べているか分からなくなる。
・オレオサイエンス, 6(4), 195-203, 2006 ・佐賀県工業技術センター, 2014高オレイン酸大豆は、米国のゲノム編集企業のカリクスト社が2018年から商業栽培を開始している。この系統は米国農務省の規制非該当の確認を得てNON−GM品種として取り扱われている。その大豆から搾油された大豆油は、すでにレストランなどで使用されているという。
韓国のバイオ企業ツールジェンは今年7月、同社がゲノム編集で開発した高オレイン酸大豆について、米国農務省から遺伝子組み換えに関する規制非該当の確認を得ている。これにより、同社のゲノム編集高オレイン酸大豆は、米国や日本ではNON−GM大豆として流通が可能になる。同社は3年で事業化するという。
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