英国政府のジョージ・ユースティス環境・食料・農村地域省大臣はこのほど、英国のテンサイ農家が、アブラムシが媒介するテンサイ黄化ウイルスによって被害を受けていることに対し、禁止されているネオニコチノイド系農薬を解禁する可能性があると語ったという。EUは2013年、3種類のネオニコチノイド系農薬を一時禁止し、2018年には屋外使用について全面的に禁止した。EU離脱が決まったとはいえEU加盟国の英国も屋外使用禁止の規制下にある。
英国東部のノーフォーク州の一部のビート農家は、テンサイ黄化ウイルスによってテンサイが被害を受けていると警告し、ネオニコチノイド系農薬の使用に関する規制を一時的に緩和するよう求めているという。
ユースティス大臣は環境問題に関する下院での質問に対して、「政府は、今年はアブラムシの防除が難しいため、テンサイの生産者が収量の損失に直面していることを認識している。花粉媒介者を保護するためのネオニコチノイドの制限を支持しているが、現在の規則の下で緊急認可の申請を受け付けていることも常に明確にしている」と答弁したという。
・Press and Journal, 2020-9-11フランスは2018年9月、環境法の改正により、すべてのネオニコチノイド系農薬を禁止した。しかし、テンサイに大きな被害が出ているとして、21年から最長3年間の限定的な解禁を打ち出している。フランスの解禁案は、ネオニコチノイド系農薬で処理した種子を、2021年の120日間に限り使用できるというもので、状況によってはさらに2年間延長するという。今秋、正式に改正案を議会に提出するという。
・Reuters, 2020-8-6この動きに対して、欧州議会のエリック・アンドリュー議員(フランス選出・社会民主進歩同盟)は8月26日、フランスが来年からテンサイに限定してEUが禁止したネオニコ系殺虫剤の使用を認めようとしていることに対して、除外の濫用を認めないように求めて欧州委員会に要求したという
・Eric Andrieu, 2020-8-26【関連記事】
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