22年12月で登録期限が切れるグリホサートに関し、EUでは見直し作業が続いている。バイエルは6月8日、新たな研究を含む登録更新に向けた申請文書を欧州委員会に設置されたグリホサート評価グループ(AGG:Assessment Group on Glyphosate)に提出した。バイエルなどで構成する欧州グリホサート更新グループ(GRG:Glyphosate Renewal Group)はこのほど、これらの提出した文書を、2012年に提出した関係文書とともに公開した。提出文書の公開に当たってバイエルは、個人情報などは非公開だとしている。
提出された文書には、2018年以降の新たな100件余りの研究が追加され、合計1507件、18万2千ページに及ぶという。提出された文書は、グリホサート評価グループを構成するフランス、ハンガリー、オランダ、スウェーデンの4か国で科学的に評価される。
評価報告書のドラフトは2021年6月までに完成する予定で、意見公募が実施されるという。その後、報告書はEUの食品安全監視機関である欧州食品安全機関(EFSA)や他のEU加盟国に送られ、評価を受ける予定だという。
・Bayer ・Glyphosate Renewal Group ・Glyphosate Renewal Group ・European Commission ・Farmers Weekly, 2020-9-10この農薬登録関連文書の公開は、欧州の市民やNGOなどが公開を求め闘ってきた成果でもある。欧州司法裁判所は2016年11月、農薬の安全性評価に関して、申請企業の提出した評価データは公表されなければならないという決定を下した。また、欧州企業監視所(Corporate Europe Observatory:CEO)は2015年12月、グリホサートに関する欧州食品安全機関の評価データの開示を要求した。
これに対し欧州食品安全機関は2016年9月、これまで非公開であった評価データの開示を認める方針を明らかにした。欧州食品安全機関は2017年1月、不十分ながら、それまで企業機密が含まれるとして非公開であったグリホサートに関する文書を公開した。
欧州議会は2019年4月、農薬などのリスク評価の透明性を高める新たな法律改正案を可決し、原則公開の流れが定まっていた。この原則公開は、2017年のグリホサート禁止も求める法的拘束力のあるEU市民発議が100万人を超える署名を集めたことを受けたものでもあった。欧州市民の力が、情報公開の流れを一歩進めた。今回のバイエルなどの提出文書の公開は、こうした欧州の流れの一環ともいえる。
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