農民連食品分析センターは10月7日、玄米の残留農薬検査結果を公表した。検査したサンプル297検体の約3分の1の107検体から残留農薬を検出。そのほとんどからネオニコチノイド系農薬を検出。新しい広義のネオニコチノイド系農薬のスルホキサフロルも2検体から検出したという。
同センターの調査は、2017年2月から2020年3月まで、市販の玄米297検体について131成分の農薬を調べたもの。産地は、北海道から沖縄県まで1道2府29県。ネオニコチノイド系農薬が検出された検体の約8割が、出国内荷量の最も多いジノテフランとなっている。検出された残留農薬は、残留基準値以下だったという。この結果の中では、2件と少ないが、2017年に新規に農薬登録されたスルホキサフロルが検出されているのが目につく。
近畿・四国をカバーするコープ自然派は、取り扱かう米をネオニコ不使用(ネオニコフリー)米とする取り組みを始めているなど、生協の一部にはネオニコ不使用の動きが起きている。また、JAたじま(京都府)の「コウノトリ育むお米」(特別栽培、栽培期間中農薬不使用)やJA佐渡(新潟県)の「朱鷺と暮らす郷づくり認証米」(減農薬、特別栽培)などのネオニコ不使用の動きもある。こうしたネオニコ不使用や有機米への取り組みの全国的な広がりが望まれる。
産 地 | 検体数 | ネオニコ検出 |
---|---|---|
国内産 | 294 | 107(36.4%) |
外国産 | 3 | 2(66.7%) |
合 計 | 297 | 109(36.7%) |
農薬名 | 検出数 |
---|---|
ジノテフラン | 82(76.6%) |
クロチアニジン | 17(15.9%) |
チアメトキサム | 3 |
アセタミプリド | 1 |
イミダクロプリド | 1 |
チアクロプリド | 0 |
ニテンピラム | 0 |
スルホキサフロル | 2 |
スルホキサフロルはコルテバ・アグロサイエンス(旧ダウ・ケミカル)の開発した広義のネオニコチノイド系殺虫剤で、従来のネオニコチノイド系よりミツバチや環境にやさしいとの触れ込みで、この5年ほどに日本や欧米で農薬登録された。従来のネオニコチノイド系への規制が強化されたEUなどで代替品として推奨されている。スルホキサフロルの国内出荷量は、2018年度5トン余りとまだ少ないが、開発したコルテバ・アグロサイエンスのほか日産化学や北興化学工業が販売に力を入れている。しかし、より低リスクと謳うスルホキサフロルも、従来のネオニコチノイド系と同様に、ミツバチやマルハナバチなどへのリスクを指摘する研究結果が発表されている。
農薬名 | 国内出荷量 [t,Kl] |
---|---|
ジノテフラン | 167.0 |
クロチアニジン | 74.8 |
イミダクロプリド | 67.5 |
アセタミプリド | 50.2 |
チアメトキサム | 46.1 |
チアクロプリド | 14.2 |
ニテンピラム | 5.6 |
スルホキサフロル | 5.4 |
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