日本のホームセンターやドラッグストアでは、グリホサートが洗剤などと同じように、普通に、そして山積みで販売されている。世界的には危険な除草剤と認識されているグリホサートは本当に、あるいはどのように危険なのか? 遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンと日本消費者連盟(日消連)はこのほど、グリホサートに関する疑問に答えるブックレット『グリホサート 身近な除草剤にひそむ危険』を発刊した。
世界保健機関(WHO)の下部機関である国際がん研究機関は2015年、グリホサートは「人に対しておそらく発がん性がある」という2Aに分類した。日本の食品安全委員会を含め、先進各国の安全関連機関は押し並べて「安全」の立場を明らかにしていた。しかし、世界的にはグリホサートを規制する動きが大きくなり、全面的に禁止する国や地域、自治体も増えてきている。米国では、グリホサートを使ったことでがんを発症したとして損害賠償を求める提訴が12万件余りを数え、20億円を超える賠償を命ずるカリフォルニア州最高裁の判決も出ている。
このブックレットは、グリホサートは何かから始まって、健康や生物多様性にどのような危険性があるのか、食品での残留問題、米国での裁判、ヨーロッパの状況など、下記の20の疑問に答える形で構成されている。最新の情報に基づき、研究論文についても掲載誌の情報もあり、より詳しく、自分で調べてみようという人には、その手掛かりが得られるようにもなっている。
最後に「私たちにできること」として9項目をあげている。使っている人に使用をやめるよう呼びかけようであるとか、ホームセンターや食品企業などへの働きかけ、食べるものを選ぶことなど、肩の力を抜いてできる事柄を並べている。グリホサートの問題を考えるには格好の入門書といえる。
- Q1 グリホサートとは何ですか? 他の除草剤とどう違うのですか?
- Q2 グリホサートを開発したのは誰ですか?
- Q3 ラウンドアップとグリホサートの関係はどうなっていますか?
- Q4 なぜ使用量が増えてきたのでしょうか?
- Q5 グリホサートがどんな問題を引き起こしてきたのですか?
- Q6 私たちの食卓にどのような形でやってくるのでしょうか?
- Q7 市販のパンがグリホサートで汚染されているって本当ですか?
- Q8 国際的な研究機関が発がん物質に認定したって本当ですか?
- Q9 グリホサートの摂取量は少ないから問題ないというのは本当ですか?
- Q10 グリホサートの危険性は発がん性以外にもあるのですか?
- Q11 妊娠や出産にも影響があるのですか?
- Q12 世代を超えて影響は続くのでしょうか?
- Q13 腸内細菌にも影響があるのでしょうか?
- Q14 生物多様性に影響があるのでしょうか?
- Q15 ペットにも影響があるのでしょうか?
- Q16 農薬メーカーは土壌中で早く分解して影響がないといいますが、本当ですか?
- Q17 米国で被害者が訴訟を起こしたそうですが、どうなっていますか?
- Q18 米国での判決がもたらした波紋とはどんなものでしたか?
- Q19 再承認をめぐって論争になったヨーロッパは、どうなりましたか?
- Q20 グリホサートの代わりの除草剤は開発されていますか?
日本消費者連盟
電話:03(5155)4765
FAX :03(5155)4767
eメール:office.j@nishoren.org
(参考)
- ネオニコ系国内出荷量 21年度3.8%増 第二世代は63%増
- 有機農業は排外主義に与しない 参政党に反対する農民と市民が声明
- 冊子『スルホキサフロル 新しいネオニコチノイド系農薬』刊行のお知らせ
- ネオニコ系イミダクロプリド 自閉スペクトラム症様の視知覚障害を引き起こす
- 厚労省:グリホサートの残留基準値を大幅緩和を告示
- メキシコ GMトウモロコシ栽培を禁止 24年までに輸入も段階的に禁止
- 東アジアは農薬のホットスポット 日本はトップ5
- 農薬再評価 ネオニコとグリホサートなど優先14品目を告示
- 米国産ジャガイモ 輸入規制緩和 ポストハーベストも認める
- 輸入小麦の残留グリホサート 豪州産の検出率急増