最終更新日:2020年12月11日
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2020.12.11 No.1096
■ゲノム編集トマトの流通が現実に まず家庭菜園用から供給
grape-tomato.jpg
ゲノム編集とは無縁のつややかな有機栽培ミニトマト

 厚労省・新開発食品調査部会遺伝子組換え食品等調査会は12月11日、サナテックシードの高GABAトマトについて、遺伝子組み換え食品ではなく、ゲノム編集食品としての「届出」に該当すると判断した。これを受けてサナテックシードが即日「届出」を行った。厚労省は同日、日本で初となるゲノム編集食品として公表した。これにより、ゲノム編集食品の流通が現実のものになった。

 厚労省は昨年10月、ゲノム編集技術を使い、遺伝子を操作して改変した食品について、外来遺伝子の挿入がなければ、従来の遺伝子組み換え食品としての審査は不要であるとした。そのうえで、事前の「相談」と「届出」で流通を認めるとして、一定の範囲のゲノム編集食品を解禁した。この間、一年余り「相談」や「届出」の状況は全く明らかにされてこなかったが、ようやく初のケースが明らかになった。今回「届出」のあったサナテックシードの高GABAトマトは、今年8月に米国農務省が遺伝子組み換え作物としての規制は不要であるとの確認書を公表していた。

 厚労省は12月11日、サナテックシードの「届出」を受けて、ゲノム編集高GABAトマト(届出名:グルタミン酸脱炭酸酵素遺伝子の一部を改変しGABA含有量を高めたトマト)の届出情報を公開したが、図版を含めてもわずか8ページと少ない。この中でサナテックシードは、オフターゲットや新たなアレルゲンの産生は見られないことを確認したとしている。しかし、マウスなど動物を使った給餌試験への言及はなく、実施していないようだ。

 このゲノム編集トマトは、改変前の品種と比べ、ヒトの血圧上昇を抑える働きがあるGABAの産生に関する非活性の遺伝子の一部を、ゲノム編集技術で活性型に改変して、GABAの産生量を増やしたという。その結果、このゲノム編集トマトのGABAの含有量は5〜6倍多くなったとしている。

 農水省も同日、一般的に規制なしで栽培可能な「情報提供書が提出された農林水産物」として届出情報を公開した。農水省への届出名称は「GABA高蓄積トマト(#87-17)」で、こちらの公開情報も少ない。農水省はまた、「情報提供書の(案)の確認の経緯」を公表したが、これによると、サナテックジードは昨年10月下旬に農水省に「相談」したという。その後、今年10月と12月に非公開で開催された生物多様性影響等検討会で学識経験者に意見を照会したとしている。

 サナテックシードは同日、厚労省と農水省に「届出」を行ったと発表した。併せて、規格外果実の処理などで飼料として利用される可能性があることから、ゲノム編集飼料としての「届出」も行ったとしている。

 サナテックシードはまた、今回「届出」の#87-17を親としたF1品種を「シシリアンルージュ・ハイギャバ」の商品名で販売を予定しているとしている。しかし、現状では既存のトマトのように果実の流通量が確保できないことから、家庭菜園用の苗として、2021年春からネットで販売するとしている。この販売予定の苗と、今後流通予定の果実には「ゲノム編集技術で品種改良をしました」「届出済」との文言を入れたマークを付けて販売するという。

 ・厚労省, 2020-12-11  ・農水省, 2020-12-11  ・サナテックシード, 2020-12-11

 サナテックシードの「届出」で、ゲノム編集食品の流通が現実のものになった。同社は、オフターゲットもなく、新規のアレルゲン産生の可能性もないという。しかし、公表されている情報ではヒトの健康影響についての言及はなく、ヒトが今まで食べたことのないゲノム編集食品が安全であるかについて、懸念は依然として残っている。

 同社は、果実にはゲノム編集されたことを示すマークを付けるとしている。この表示を付けての販売は評価できる。しかし、家庭菜園向けにも苗を販売することから、小さな直売場などで、無表示で販売される可能性もある。

 今回の「届出」で、このゲノム編集高GABAトマトは、これまでの一般的なトマト同様に、花粉の拡散防止をすることなく栽培が可能となる。これは大きな問題で、ゲノム編集トマトの花粉がハチなどにより拡散することで、どのような影響が生ずるかは未知数だ。そして、どこで栽培されているか分からないという点も問題だ。遺伝子汚染防止の点から、トマトの自家採種している農家などは交雑防止の工夫が必要となるだろう。

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