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農民連食品分析センターはこのほど、ヒトの尿中のネオニコチノイド系農薬の予備的な検査結果を公開した。公開された検査結果は、スタッフ5名とその家族2名の計7人分。人によりバラツキはあるものの、全員から出荷量がトップのジノテフランが検出されている。また、2018年に出荷が始まったばかりのスルホキサフロルが2人から検出されていることが目を引く。気を付けていても摂取してしまう現状が反映されている結果になっている。
中でも、スタッフHさんからは、ほかの人に比べジノテフランが多く検出されている。Hさんはこのことについて、ご飯をたくさん食べていることと、近くにある家庭菜園のトマトをよくもらって食べていることからではないかという。この家庭菜園は公園付属の農園で、2週間に一度ネオニコを散布しているとの張り紙があったとのことで、これも理由ではないかという。
農民連食品分析センターはこれまでに、約300件の玄米の残留ネオニコチノイド系農薬の検査結果を公開している。そのデータによれば、3分の1から何らかのネオニコチノイド系農薬が見つかり、その77%がジノテフランだったという。言い換えれば全体の28%からジノテフランが見つかったことになる。ジノテフランは、2018年に167トンが出荷されている(国立環境研究所まとめ)。
このスタッフなどの公開データでは、2人からスルホキサフロルが検出されている。スルホキサフロルはダウ・ケミカルが開発した新しいタイプのネオニコチノイド系農薬。2017年12月に農薬登録され、2018年から出荷が始まっている。出荷量は、2018年が5.4トン(国立環境研究所・化学物質データベース)、2019年は10.3トン(『農薬要覧2020』から試算)と、まだあまり多くはないが、前年比192%と急増している。トランスフォーム(野菜・果物)、あるいはエクシード(稲)の商品名で販売されている。
農民連食品分析センターによれば、有機農家や有機農産物をよく食べている13人のデータでも、ジノテフランが多く検出されているという。給食に有機農産物や減農薬の材料を使っている保育園に通う幼児からも、結構なジノテフランが検出されているという。
日々の食事に気を付けていても、有機や無農薬が少ない果物や加工食品の摂取を通してネオニコチノイド系農薬は排除しきれない。慣行農産物や加工品を多く食べている人からは、どの程度のネオニコチノイド系農薬が見つかるのか。今後のデータの蓄積と公開が待たれる。
・農民連食品分析センター, 2021-9-9この尿に含まれるネオニコチノイド系農薬検査について、農民連食品分析センターは20名のプレテスターを募集している。募集期間は9月20日まで。費用は無料。応募多数の場合は、分析サポーター会員か、新規に分析サポーター会員に登録した申込者が優先されるという。
・農民連食品分析センター, 2021-9-10【関連記事】
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