最終更新日:2021年10月7日
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2021.10.07 No.1120
■市販のハチミツからグリホサート検出 厚労省は残留基準値を緩和へ
sakura_hatimitu_kanban.jpg / Wikimedia
サクラ印ハチミツ / michell zappa / Wikimedia

 都内で購入した「サクラ印ハチミツ」(加藤美蜂園本舗)から残留基準値を超えるグリホサートが検出された。購入した5本のうち3本が基準値(0.01ppm)を超え、そのうちの1本は0.05ppmだったという。週刊新潮が7日発売の号で報じたもので、加藤美蜂園本舗は今年2月、同社社内で違反状態であることが判明していたのも関わらず隠ぺいしていたという。

 週刊新潮(本誌)によれば、都内で購入した5種類の「サクラ印ハチミツ」から、残留基準値(一律基準 0.01ppm)を超える0.05ppmが1点、0.02ppmが2点、痕跡(定量下限以下での検出)だったという。原産地はアルゼンチン産が4点、アルゼンチン産と中国産の混合が1点だったという。

 この結果に、検査にあたった農民連食品分析センターの八田所長は「基準値超えのハチミツを摂取してもすぐに身体に害が出るわけではありませんが、基準値を超えているものを摂取したくない人も当然います。実態が消費者にきちんと伝わっていないのは問題だと思います」(週刊新潮本誌)と指摘している。

 週刊新潮はこの5点の検査結果のほかに、加藤美蜂園本舗の「お家騒動」裁判で証拠として提出された6点の同社のハチミツの検査結果を掲載している。それによれば、6点共に一律基準を超え、0.02ppmと0.03ppmがそれぞれ3点ずつだったという。

 週刊新潮(電子版)は、加藤美蜂園本舗の会議を録音した音声データを公開している。その音声によれば、「グリホサート混入しながらまだやってる」「私は回収はハッキリ言ってしたくないというのが現状です。食品衛生法からいったらアウトです」と、明らかにその問題を認識していることが分かる。しかし、加藤美蜂園本舗は、6日時点でも残留基準値超えの検査結果の公表や、問題のロットの回収を行っていなかった。ようやく7日午後になって、「一部週刊誌の報道に関しまして」という文書を自社のサイトに掲載し、週刊新潮が残留基準値を超えたと指摘したアルゼンチン産とカナダ産のハチミツについて、「報道された製品の一部について、念のため自主回収することに致しました」と自主回収することを明らかにした。この文書では、わざわざ厚労省の「現実的ではありませんが、体重60kgの人が、グリホサートが0.08ppm残留したはちみつを毎日750kg摂取し続けたとしても、一生涯の平均的な摂取量が許容一日摂取量を超えることはなく、グリホサートが健康に及ぼす影響はありません」との解説を引用しているなど、反省の色はほとんど感じられない。

 今回明らかになったハチミツの残留基準値を超える製品について、企業が食品衛生法違反であると認識しながら、その事実を隠蔽し続けたことが一番の問題である。消費者に適切な情報を示すことなく、その製品の安全性を信用することはできない。加藤美蜂園本舗が問題の製品を自主回収すると言ってはいるものの、その言葉にどれだけの信用性があるのか。

 ・週刊新潮, 2021-10-6  ・加藤美蜂園本舗, 2021-10-7
argentina_soja.jpg / Flickr
広大な大豆畑(アルゼンチン・ブエノスアイレス州) / Lucio Marquez / Flickr

 昨年12月、ブラジルのカンピーナス大学の研究グループは、ブラジル南東部のグリホサートを使用する農業地域の蜂蜜を分析し、約4割からグリホサートとその代謝物質AMPAが検出されたと発表している。今回の問題となった「サクラ印ハチミツ」の原料原産地はアルゼンチン。アルゼンチンはブラジルと並ぶ除草剤ラウンドアップ耐性の遺伝子組み換え大豆の主要な生産地の一つであり、延々とGM大豆の畑が続くという。国際アグリバイオ事業団(ISAAA)のデータによれば、2018年のアルゼンチンの遺伝子組み換え作物栽培面積は2390万ヘクタールに達し、大豆は1800万ヘクタールだという。グリホサートが見つかったアルゼンチン産のハチミツも、こうしたグリホサートを多く使用している農業地域で生産されたハチミツだったのではないか。

 ・Food Additives & Contaminants, 2020-12-17

 日本のハチミツの残留基準値のうち、グリホサートには基準値が設定されておらず一律基準の0.01ppmが適用されている。ハチミツの残留グリホサートは、昨年末にNZ産から見つかり問題となっていた。EUの残留基準値は0.05ppm、NZは0.1ppmである。

 この問題を受けた形で、厚労省の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会は5月18日の部会会合において、ハチミツの残留基準値の設定について議論している。この会合で、基準値の設定がなく一律基準が適用されている、グリホサートを含む40品目の農薬について0.05ppmに(2品目は0.01ppm)設定する事務局案が提示された。この事務局案は、食品安全委員会の再評価不要の見解を得て、7月7日の部会会合で了承され、食品衛生分科会へ報告されている。

 厚労省は9月3日、ハチミツの残留基準値の設定について意見公募を実施したが、この案件は10月2日までで、意見提出は締め切られている。近く、原案通りに残留基準値が設定されるものと思われる。グリホサートの残留基準が0.05ppmに設定された場合、実質的な緩和となる。

 ・農薬・動物用医薬品部会資料, 2021-7-7
  議事録
 ・パブリック・コメント
  「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(案)」(農薬等(MCPA等48目)の残留基準の改正及びゲンチアナバイオレット試験法の設定)に関する御意見の募集について
  別紙1
  参考資料1

● ハチミツの生産と輸入

 農水省の『養蜂をめぐる情勢』(2020年11月)によれば、2019年の国内生産は2911トンに対して輸入量は44788トンで、自給率は6.1%となっている。財務省・貿易統計によれば、2020年の輸入ハチミツは約5万トン。内訳は、約7割が中国産、1割がアルゼンチン産、次いでカナダ産などとなっている。

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