最終更新日:2021年10月17日
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2021.10.17 No.1122
■メキシコ最高裁 GM栽培禁止異議申立てを棄却
diversity_maize_mexico.jpg / Flickr
多様なメキシコのトウモロコシ / Feria de Productores / Flickr

 メキシコ最高裁は10月13日、遺伝子組み換えトウモロコシの栽培禁止命令に対するバイエル(モンサント)、シンジェンタなど企業による異議申立てを棄却した。メキシコ政府も差止命令を支持する準備書面を最高裁に提出していたという。農民者、養蜂家、人権、芸術家、研究者の20団体の代表を含む53人からなる原告が栽培禁止を求めて提訴していた。

 メキシコはトウモロコシの原産地。メキシコには2万種以上の在来トウモロコシがメキシコの生物多様性研究所によって確認されているという。決定で最高裁は、GMトウモロコシの栽培がメキシコのトウモロコシの生物多様性を脅かす可能性があると指摘しているという。下級審は2014年の決定で、原告を支持し「生物多様性の利用と享受は、現在および将来の世代の権利である」と指摘していた。

 この最高裁の決定を受けて、遺伝子組み換えトウモロコシの栽培禁止を求めている原告団は、「在来種のトウモロコシ、ミルパの保護と集団的権利の行使を支持する画期的な判決であり、生物多様性、農民社会と消費者の勝利だ」と、決定を歓迎する声明を出した。原告団は、ユカタン半島では、最高裁判所が禁止しているにもかかわらず、大豆や遺伝子組み換えトウモロコシまでもが違法に、そして堂々と栽培されている現実に、この決定が現実に実行されることを保証するものではないことに留意する必要があるとも指摘している。こうした裁判所の決定の遵守を保証する法の支配がなければ、被害を避けることはできないとしている。そして、本裁判は継続しており、メキシコにおける遺伝子組み換えトウモロコシの決定的な禁止までには先は長いとみている。

 ・Food Tank, 2021-10-14  ・Demanda Colectiva Maiz, 2021-10-13

 この最高裁の決定に先立ち、メキシコ連邦衛生リスク対策委員会(COFEPRIS)は、バイエルの遺伝子組み換えトウモロコシの承認申請を却下した。メキシコの農業生産者団体のメキシコ全国農牧協議会(CNA)によると、規制当局はこの新品種が除草剤グリホサートに耐性であるとして、「予防原則」に基づいて却下したという。バイエルはロイターの取材に、規制当局の決定に失望したと述べているという。この当局の却下により、この品種は米国から輸入もできないことになるという。

 連邦政府は昨年12月、2024年までにグリホサートの禁止とともにGMトウモロコシの輸入を段階的に禁止する大統領令を発出していた。これまでメキシコ政府は、約90品種の遺伝子組み換えトウモロコシを含む約170種類の遺伝子組み換え品種の輸入を承認してきた。しかし、2018年末に就任したオブラドール政権では、遺伝子組み換え品種の承認は行われていないという。メキシコ政府のグリホサートとGM作物禁止方針に、成功はしなかったものの、トランプ政権下で米国通商代表部とクロップライフなどがタッグを組んで、水面下で工作していたことが暴露されている。バイエルなどは、20年7月に発効した米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)違反として扱うようバイデン政権に訴えているというが、今のところ成功していない。

 ・Reuters, 2021-10-8

 ユカタン半島では、メソナイトによる森林破壊と違法な遺伝子組み換え大豆栽培が大規模に行われている。それにより、マヤの人びとが生業としてきた養蜂に大きな影響が出ている。この約20年間でユカタン半島・カンペチェ州の78万ヘクタールの森林が破壊され、メノナイトが持ち込んだ遺伝子組み換え大豆栽培により、先住民のマヤの人びとが生業としていた養蜂の生産量が減少したという。

beekeeping_yucatan.jpg / Flickr
家族養蜂(メキシコ・ユカタン半島) / CIMMYT / Flickr

 ユカタン半島に位置するカンペチェ州のマヤの人びとは、メソナイトと栽培差止の決定を無視してきた政府を相手に闘ってきた。マヤの在来針なしミツバチ養蜂グループリーダーのレイディ・ペッジさんは、2020年度のゴールドマン環境賞を受賞した。このレイディ・ペッジさんやマヤの人びとの闘いを描いたドキュメンタリー『ミツバチに何が起こったのか?』が国際有機農業映画祭2020で上映されている。

 ・ナショナルジオグラフィック日本語, 2021-5-28  ・Enterprenur, 2020-12-1
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