最終更新日:2021年10月21日
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2021.10.21 No.1124
■ネオニコの健康影響を伝える映像 作品制作にクラウドファンディング
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提供:アジア太平洋資料センター(PARC)

 欧米でのミツバチの大量死などから、ネオニコチノイド系農薬の生態系への悪影響が明らかになり、欧米を中心に規制が進んでいる。研究が進み、ヒトの健康影響が次第に明らかになってきている。ネオニコチノイド系農薬は昆虫の神経系に作用することで殺虫効果があるとされる。ヒトに対しても同じような神経系への作用が少しずつ明らかになってきているという。こうした悪影響は、ことに子どもにとっては大きな問題となるが、ネオニコチノイド系農薬のヒトへの影響をテーマにした映像作品の制作が始まり、《子どもをネオニコから守ろう!》とクラウドファンディングで支援を募っている。

 この映像作品『浸透性農薬<ネオニコチノイド>はヒトにとって安全か? ―最新研究から検証する』(仮題)はアクト・ビヨンド・トラスト(abt)の企画で、アジア太平洋資料センター(PARC)との共同制作。11月下旬の完成を目指して、9月から制作を進めている。

 アジア太平洋資料センターは2018年、農薬に曝されるフィリピンのバナナ農園で働く労働者や地域の住民の苦境を描いた『甘いバナナの苦い現実』を制作している。PARCはこの作品の制作でネオニコチノイド系農薬の問題への関心を深めるようになったという。オーディオ・ヴィジュアル担当の奥村勇斗さんは、「フィリピン・ミンダナオ島の栽培現地では、バナナ農園で空中散布を含む複数の用途でネオニコが使用されていることが近年のバナナ調査の中で浮き彫りにされてきました。しかし、他の多くの使用農薬についてもそうですが、その人体への影響については現地の労働者はほとんど何も知らされていません」という。この問題は、農薬散布に曝されるフィリピンの人びとの問題である一方で、大量の農薬を使ったバナナを食べる日本の消費者の問題でもある。PARCは日本の消費者だけでなく、こうした農業労働者らに十分にリスクが伝えられ、そのことをきっかけに使用禁止運動への機運を高めるために人体への影響をファクトに基づいて正確に伝える調査研究を進めたいと考えていたという。そうしたところ、アクト・ビヨンド・トラストの企画の話が持ち上がり共同制作することになったという。

 ネオニコチノイド系農薬のヒトの健康影響をテーマにして、科学的な知見に立脚した映像作品は、日本でも世界でもほとんどない。制作中の作品の監修者の平久美子さんは、ネオニコチノイド系農薬の問題に警鐘を鳴らし、科学的知見に立った報告書を発表してきた国際自然保護連合浸透性殺虫剤タスクフォース公衆衛生グループ座長で、ご自身が20年近くネオニコチノイド系農薬の被害と人の健康影響の研究を続けてこられている。この点でも、この作品には期待したい。そしてこの映像は、農業の現場でネオニコチノイド系農薬を使っている農民や農業労働者が、その危険性を知るために活用しうる作品となるだろう。この作品は完成後、ウェブに無料公開を予定しているという。

 支援の目標額は100万円で、クラウドファンディングのプラットホームのモーション・ギャラリーから申し込む。締め切りは10月29日。現在、75%まで到達している。

 ・モーション・ギャラリー

 これまでにも幼児の尿からもネオニコチノイド系農薬が見つかり、胎児にも移行していることが明らかになっている。現代のヒトは幼い時からネオニコチノイド系農薬に曝されていることは間違いない。そして、この10年ほどの間に、以下のようにネオニコチノイド系農薬のヒトへの健康影響が明らかになっている。

【2009年】
6月)東京女子医大の平医師などの研究グループは茶飲料などの連続接種後に頭痛、めまいなどニコチン様アセチルコリン受容体関連症状を示す症例が増えているとの研究結果を発表。茶葉や茶飲料から高濃度のアセタミプリドを検出。

【2011年】
4月)東京女子医大などの研究グループは『ネオニコチノイド系殺虫剤の代謝産物6-クロロニコチン酸が尿中に検ニコチン中毒様症状を示し出された亜急性6症例』を発表。
11月)平久美子(東京女子医大)『ネオニコチノイド系殺虫剤のヒトへの影響』(1,2)を発表。
11月)木村−黒田純子ら『新農薬ネオニコチノイド系農薬のヒト・哺乳類への影響』を発表。

【2012年】
2月)木村ー黒田純子ら『ネオニコチノイド系農薬イミダクロプリド、アセタミプリドはラット新生仔の小脳神経細胞にニコチン様の影響を及ぼす』を発表。

【2016年】
5月)名古屋大の研究グループは、日本の子ども(3歳児、223名)の尿中から有機リン系、ピレスロイド系殺虫剤代謝物とともにネオニコ系が80%で検出と 発表。
6月)国立環境研究所は、母マウスが妊娠期から授乳期に掛けてアセタミプリドを摂取したオスの仔マウスに行動異常が見つかったと発表。

【2017年】
7月)米国マサチューセッツ大学などの研究チームはネオニコがヒトや哺乳類のニコチン性受容体α7の機能を阻害、撹乱している可能性があると 発表。
8月)フランス・オルレアン大のなどの研究チームは、ラットにチアクロプリド、アセタミプリド、チアメトキサムを投与し、興奮反応あるいは抑制が見られたと発表。
10月)ナポリ大学の研究グループは、クロチアニジンは低濃度でヒトの免疫細胞に作用し、免疫反応を抑制すると発表。
10月)神戸大学などの研究グループは、無毒性量以下もしくは同等量のクロチアニジンを若い雄マワスに単回投与で不安行動を示し海馬など脳に異常を確認と発表。
10月)カナダ・ケベック大の研究グループは、低用量のネオニコが内分泌攪乱作用を示すと発表。

【2018年】
1月)東北大学の研究チームはイミダクロプリドが哺乳類のアドレナリンを増やす仕組みを解明と発表。
4月)カナダの研究チームは、ネオニコチノイド系農薬に内分泌かく乱物質の可能性があると発表。

【2019年】
6月)北海道大学などの研究グループはネオニコチノイド系農薬の母体から胎児への移行や日本人のネオニコ系農薬曝露源が食事であることを明らかにした研究成果を環境化学討論会で発表。
7月)北海道大学などの研究グループは出生直後の尿からアセタミプリドの代謝物質を検出しネオニコチノイド系農薬が母体から胎児に移行する可能性を示唆した世界初の研究結果を発表。
7月)米国疾病対策予防センター(CDC)の研究グループは3歳以上の米国民の半分がネオニコチノイドに暴露されている発表。

【2020年】
1月)神戸大学などの研究グループは、マウスに経口投与したクロチアニジンとその代謝物が、胎盤を通して胎児にほぼ同じ血中濃度で移行することを確認したと発表。
8月)イタリア・トリノ大学などの研究グループは、グリホサートとチアクロプリドとイミダクロプリドが比較的高い濃度で内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)の可能性を示したと発表。

【2021年】
2月)神戸大学などの研究グループは無毒性量の約10分の1という低用量のクロチアニジンを与えた老齢のマウスは、より若いマウスに比べ自発行動が減り不安状態を示すような行動異常が起こしたと発表。

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