最終更新日:2022年8月23日
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2022.08.23 No.1141
■専門調査会審査が終わったDHA産生GMナタネ
oilseed_rape_seed_violet.jpg / Flickr
種子処理された油糧用ナタネの種子 / CropShot / Flickr

 遺伝子組み換えナタネは、これまでキャノーラ油搾油用として消費されてきたが、新たにドコサヘキサエン酸(DHA)を作り出す遺伝子を組み込んだGMナタネが開発され、米国などでは食品や飼料として承認され、栽培も始まっている。食品安全委員会は現在、2つのDHA産生GMナタネを審査しているが、その一つ、BASFの除草剤耐性遺伝子組み換えナタネLBFLFKについての専門調査会での審査が7月28日終了した。議事要旨によれば、評価書(案)を一部修正の上、食品安全委員会に報告することとなったとしている。近く開催される本委員会で評価書が決定される模様だ。

 このDHA産生遺伝子組み換えナタネLBFLFKは、20年6月から23年3月までの予定で、茨城県筑西市にあるバイエルクロップサイエンスの隔離圃場で試験栽培が実施されている。この試験栽培終了を待って、カルタヘナ法での承認が行われるのではないか。

 飼料としては、農水省農業資材審議会飼料分科会が2020年9月、「安全性に問題がないとすることは適当と認める」と答申している。しかし、食品安全委員会の飼料としてのヒトへの健康影響評価待ちで、まだ承認されてはいない。

 分科会の報告書では、「DHAの供給源である魚油は、原料である魚が有限の資源であること及び高価であることから、LBFLFK油は魚油の代替として利用される。従来のキャノーラと同様に、LBFLFKは搾油用として使用され、搾油後の油かすを飼料に混ぜて使用される予定」としていて、搾油用としての利用が目的であることを明記している。

 ・食品安全委員会, 2022-7-28  ・生物多様性影響評価検討会総合検討会, 2019-12-20  ・農業資材審議会 飼料分科会, 2020-9-30

 このBASFのGMナタネLBFLFKの海外での承認はまだ数少ない。国際アグリバイオ事業団(ISAAA)のデータベースによれば、食品としてはカナダ(2019)と米国(2022)の2か国だけである。米国は栽培(2019)と飼料(2022)について承認している。

 ・GM Approval Database

もう一つのDHA産生GMナタネ

 DHA産生遺伝子組み換えナタネは、BASFのLBFLFKのほかにも、ニューシード(豪州農薬大手ニューファムの関連会社)が申請している「長鎖オメガ三系脂肪酸産生及び除草剤グルホシネート耐性セイヨウナタネNS-B50027」があり、食品安全委員会遺伝子組換え食品等専門調査会で審査されている。

 このニューシードのNS−B50027は、養殖用飼料向けとして開発され、2018年に豪州と米国で栽培が承認されている(2022年8月23日現在)。日本では、農水省農業資材審議会飼料分科会は2020年9月に「安全性に問題がないとすることは適当と認める」と答申しているが、食品安全委員会の飼料としてのヒトへの健康影響評価待ちで、こちらもまだ承認されてはいない。

 ・GM Approval Database  ・農業資材審議会 飼料分科会, 2020-9-30

 ニューシードのNS−B50027は、除草剤グルホシネートにも耐性がある。フランスは2017年10月、生殖毒性の疑いがあるとしてグルホシネートの登録を取り消した。欧州委員会も2018年、グルホシネートの農薬登録の延長手続きを行わず、その登録が失効し、EUでは禁止農薬となっている。しかし当然のことながら、EUでも食品に残留しているグルホシネートについて基準値が設定されている。日本と品目の区分けに違いがあり単純な比較ができないが、同じ品目69品目について、残留基準値を比較すると、半数の35品目の残留基準値が日本より厳しく設定されている。

食用油利用の可能性

 ほぼ同時期に申請されたBASFとニューシードのDHA産生遺伝子組み換えナタネは、厚労省の食品としての承認後、DHA強化キャノーラ油として一般に販売され、DHA強化ということで特定保健用食品(トクホ)もあり得るのではないか。

 英国のロザムステッド研究所は2014年、養殖魚の飼料添加物の生産が目的として、DHAとEPA(エイコサペンタエン酸)を作る遺伝子組み換えアマナズナを開発した。このGMアマナズナの試験栽培申請に際し、結局のところマーガリンなどのヒトの食品に添加されることになるのではないか、とガーディアン紙が報じていた。このアマナズナは、試験栽培はされたものの商業栽培には至っていない。

養殖場での使用が始まっているGM由来DHA油

farmed_salmon_food.jpg / Flickr
養殖サケの飼料(チリ) / Sam Beebe / Flickr

 ニューシードによれば、米国で栽培されたGMナタネ由来のDHA油はこれまでに、南米チリの養殖場で使用される目的で出荷されている。米国で飼料油に加工して出荷され、チリで養殖サケの飼料として使われるという。世界養殖連盟(GAA:Global Aquaculture Alliance)は、このニューシードのGMナタネを2020年のイノベーション・オブ・ザ・イヤーの最終選考に選出している。

 ・Nuseed  ・Nuseed, 2020-9-29
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