最終更新日:2022年11月21日
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2022.11.21 No.1149
■ネオニコ系イミダクロプリド 自閉スペクトラム症様の視知覚障害を引き起こす
hiyoo_.jpg / Flickr
孵化したニワトリの雛 / muzina_shanghai / Flickr

 北海道大学などの研究グループは11月18日、ネオニコチノイド系イミダクロプリドを投与した卵から生まれたヒヨコに自閉スペクトラム症(ASD)様の視知覚障害が起きると専門誌 Cerebral Cortex Communications に発表した。

 卵の重量に対して0.1〜1ppmのイミダクロプリドを投与したヒヨコに自閉スペクトラム症のような視知覚障害が発生したという。そして、自閉スペクトラム症に治療効果が示唆される薬剤ブメタニドを孵化直後のヒヨコに投与すると、その障害が消失したとしている。

 研究グループはこの研究結果と人への影響に関し、「妊婦が散布された殺虫剤に直接暴露した場合、どれほどの量が胎児や新生児に移行するかに応じてリスクが発生すると考えるのが妥当です。十分な注意が必要です」としている。

 ・Cerebral Cortex Communications, 2022-11-18  ・北海道大学, 2022-11-18

 これまでに妊娠中に母体から胎児へのネオニコチノイド系農薬の移行に関する研究結果が発表されている。北海道大学などの研究グループは2019年、出生直後の新生児の尿からイミダクロプリドとアセタミプリドの代謝物質を検出し、ネオニコチノイド系農薬が母体から胎児に移行を確認した初めての研究結果を発表している。

 ・第 28 回環境化学討論会,2019-6

 神戸大学などの研究グループは2020年、マウスに経口投与したクロチアニジンとその代謝物が、胎盤を通して胎児にほぼ同じ血中濃度で移行することを確認したと発表している。

 ・Toxicology Letters, 2020-1-20

 2022年には、スイス・ヌーシャテル大学とローザンヌ大学の研究グループは小児の脳脊髄液からネオニコチノイド系農薬イミダクロプリドなどとその代謝物質が検出されたと発表している。研究グループは、ネオニコチノイド系農薬による汚染は、ハチなどの非標的昆虫だけでなく、子どもにとっても環境上の危険である可能性を示唆しているとしている。

 ・Environmental Health, 2022-1-11

 このようにネオニコチノイド系農薬の母体から胎児への移行はほぼ確実に起きている。北海道大学などの研究グループが指摘するように、母体から胎児や新生児への移行量がどの程度なのかをはっきりさせ、ヒトでのASD様の視知覚障害が起きるかを確認すべきだろう。

 これまでに福島県有機農業ネットワークの調査から、食材を慣行農産物から有機農産物に切り替え、30日間食べ続くることで尿中のネオニコチノイド系農薬は約90%低減できることが分かっている。

 ・福島県有機農業ネットワーク, 2019-3-28

 予防原則に立ち、妊婦の食事を、胎児への暴露をより低減できる有機農産物主体の食事に切り替えることも考慮されてもよい。

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