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![EBI 221125_Save Bee and Farmer_ECI_Meeting-2.jpg / Flickr](../../img/221125_Save Bee and Farmer_ECI_Meeting-2.jpg)
2035年までに段階的に化学農薬を禁止し、生物多様性を回復し、この移行期に農家を支援する法的措置を求める欧州の市民発議「Save Bees and Farmers !」について、欧州委員会は10月10日、105万筆の署名を集め成立したと発表した。EUの市民発議の制度は、市民が特定の課題に対して100万筆以上の有効署名を集めた場合、EUが法的拘束力追うという制度で、これまでに94の発議が提起され、今回の「Save Bees and Farmers !」は7番目に成功した発議だという。農薬関連の成立した市民発議としては、100万筆以上の有効署名で成立した2017年のグリホサート禁止を求める市民発議に次ぐもの。欧州委員会は、市民発議に関する法案を提案するか、非法的措置をとるか、何もしないかについて、2023年4月7日までその概要を公表する義務がある。欧州委員会は、2030年までに化学農薬の使用量の50%削減(リスク換算)を決めているが、この市民発議の要求に対してどのように対応するのかが注目される。
農薬行動ネットワーク・欧州(PAN Europe)や欧州地球の友(Friends of the Earth Europe)などの欧州の環境団体やNGOによって提起されたこの市民発議は、欧州委員会に対して農薬に関する3項目の施策の実施を求めていた。
欧州委員会の正式発表を受けて市民発議「Save Bees and Farmers !」は声明を発表し、「農薬による自然との戦いを止めるための歴史的な一歩だ」と評価している。この市民発議の代表マーティン・ダーミンさん(国際農薬行動ネットワーク・欧州)は声明で、「今回の市民発議は7回目の成功で、農薬に反対する市民発議としては2回目となります。これはEUや各国の意思決定者に、市民の声に耳を傾け、有毒な農薬から脱却するよう強い民主的なシグナルを送るものです。農民と科学は、アグロエコロジーが化学肥料を使わずに世界を養えることを証明しています。政治家がアグリビジネスに耳を傾けるのをやめ、私たちの子供たちの未来のために働き始めるべき時が来たのです」と述べている。
市民発議「Save Bees and Farmers !」は、EU加盟国で118万筆の署名を集め、欧州委員会に提出し、各国で有効署名の確認が行われていた。欧州委員会によるこの市民発議の公表情報によれば、有効な署名は105万筆あまりだったという。そのうちドイツからの52万筆余りが群を抜いて多く、そのほかではフランスが約9万筆、オランダが約10万筆だったとしている。加盟27か国ごとに設定されている基準署名数を超えたのは10か国だった。この市民発議の運動資金は、環境保護団体など延べ49団体が約28万ユーロを拠出したという。
・European Commission, 2022-10-10 ・European Citizens' Initiative ・Save Bees and Farmers !, 2022-10-10 ・Save Bees and Farmers !, 2022-11-23この市民発議の成立を受けて市民発議メンバーは11月25日、欧州委員会のヴェラ・ヨウロヴァ副委員長(価値・透明性担当)とステラ・キリヤキデス委員(保健・食品安全担当)と会合を持ち、3項目の要求を正式に提出した。この会合に欧州委員会のツイッターは、「要求を詳細に調べ、来年の早い時期に対応します」と投稿している。ステラ・キリヤキデス委員はツイッターで「市民発議Save Bees and Farmers! との本日の会議に非常に満足しています」と投稿した。
この会談に関し市民発議「Save Bees and Farmers !」は、「市民のイニシアチブは正式に有効であり、欧州委員会は正式な回答を出さなければならない。正式な回答が必要である」とする声明を発表し、来年1月に欧州議会での公聴会が開かれる予定だとしている。
・PAN Europe, 2022-11-28- ネオニコ系国内出荷量 21年度3.8%増 第二世代は63%増
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