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■生物多様性

2015-08-19

 アキアカネの減少はネオニコ系農薬が原因か

 大阪、兵庫、三重、富山、長崎、鹿児島の6府県で、絶滅が危惧されてレッドリストに掲載されたアキアカネ。石川県立大の上田哲行名誉教授によると、石川県内でアキアカネの羽化が確認できた水田は89年で80%が、09年は19%。実験では、ネオニコ系農薬を散布すると、不使用時と比べて羽化率が7割も落ち込むことが確認したとしている。アキアカネの減少は、ネオニコ系農薬の使用が始まった90年代後半以降が目立つとしている。

 環境省は昨年度、ネオニコ系農薬とトンボの関係の文研調査で「トンボに影響していることが示唆されるものの、確認には至らなかった」との結論。今年度、兵庫、広島、佐賀の3県でアキアカネなどの生息数と農薬使用の状況、残留農薬の濃度などを調べ、因果関係の有無を確かめるとしている。

 25の文献を対象とした環境省の昨年度の文献調査は国立環境研が行ったもの。アキアカネなどの減少の原因がネオニコ系農薬の可能性を指摘するも明らかではないとしている。

 国立環境研の文献調査では、EUが13年に予防原則によりネオニコ系農薬とフィプロニルの使用制限に踏み切ったことについて「国際的に波紋を呼んでいる」としている。 日本の健康行政、環境行政には「予防原則」は存在していないようだ。